ファゴット奏者磯崎早苗のブログです。
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2011/03/11 東北地方太平洋沖地震
2011.03.12 Saturday
そのとき、私は大船の鎌倉芸術館のリハーサル室で、12日本番のコンサートのリハーサル中でした。ちょうどシンフォニーの三楽章の中盤、最初気づいた時はいつもあるような小さい揺れでしたが、次第に大きくなり、オーケストラの音はやみ・・
揺れの中、みんなパニックなりながらも楽器を片付け、とりあえずホールの外に出ました。大ホールでは、ちょうど秋川雅史さんのコンサートが行われており、たくさんの人でエントランスはいっぱいになっていました。余震が続き、ひとまず練習は中止、解散となり、明日は朝10:30に集合ということになりました。
ひとまず大船駅まで向かったのですが、まず町中の電気が停電しており、駅と駅ビルの電気がついているだけで、電車はすでに止まっていました。しばらく改札の外で電車の復旧を待っていたのですが、らちがあかず、夕方16時を過ぎた頃になってくると寒くなってきたので、まずは食料を買い、駅の中の暖かいところに避難しました。
しかし、、、どんどん寒くなり、、、、駅ナカのお店でダンボールをもらい少しでも暖かくしようと、、、、その上に座るなどして、みんなで丸くなって床に座って電車の復旧を待っていました。
夜、19時を回った頃でしょうか?電車の本日中の復旧は見込めないとのこと。駅の会議室や他への避難誘導もありましたが、まずは年配の方、体調の悪い方、妊娠中の方が優先で、その後もしばらくそのまま待機、、、、
21時頃、鎌倉芸術館からのご好意で、ホールの方に避難させて頂けることになり、ホールまでみんなで戻りました。その頃には信号や町の明かりもついていました。そして、暖かいホール二階のロビーにて、ござと座布団の上でくつろぐことができました。
これほど座布団が嬉しく思ったことはありませんでした。
私たちオーケストラのメンバー以外にも、大船駅にいた多くの方々が同じように鎌倉芸術館に避難しにやってきました。
昨日はそのまま、鎌倉芸術館で休みました。
そして、今日早朝6時頃、コンサートマスターでインスペクターのヴァイオリンの七沢さんからコンサートをやるとの連絡。
夜中じゅう、ニュースでも各地の被害を伝えていたし、朝も各地で余震が続いていました。
それでも、私たちはコンサートを決行することになりました。
朝10時半、朝7時頃から復旧して遅れているJRの電車に乗っているであろうトロンボーンのメンバーを残してゲネプロが始まりました。
オーケストラのメンバーほとんどが鎌倉芸術館で夜を明かし、きっとみんなあまり寝れていないはずです。しかし、みんな各々複雑な思いを抱えながら、無事三曲のゲネプロを終えました。
そして、本番を迎えました。トロンボーンの方々は実に朝の電車のパニックに巻き込まれながら長い時間をかけてホールに到着、無事メンバー揃っての演奏となりました。
静かにクラリネットのソロからはじまるボロディン、そしてベートーヴェンのピアノ協奏曲。ソリストの今井彩子さん、本当に素晴らしかったです。
そして、休憩をはさみ、湘南鎌倉病院の院長小林修三先生のお話。もちろん、今回の地震についてのお話からはじまり、ベートーヴェンの病の話に。
ベートーヴェンは鉛による慢性の腹痛・下痢、そして耳の病。
それでも、こんなに素敵な曲を書いている。そんな風に、小林先生のお話を聞いているうちに、やっぱり私たち音楽家にできることは、今日のコンサートで精一杯演奏することしかないんだ。そう思いました。
そして、チャイコフスキーの交響曲第5番。
あまりに有名で、多くの人に愛されているこの曲の二楽章、、、、、そのときまでに分かっていた東北を中心とする地域での被災者や死亡者の方々のことが頭に浮かび、、、、まるでレクイエムのような冒頭の弦楽器の響きに涙しそうになってしまいました。
詳しくは分かりませんが、本当にありがたいことに客席には50人ほどのお客様がいらして下さっているように見えました。二楽章の中盤くらいに少し大きめの揺れもありました。しかし、皆さん最後まで聞いて下さいました。
今日は無事に帰宅することができ、母親父親と共にいますが、これを書いている間も余震が続いています。本当に不安ですが、まだ行方不明になっている方々や避難している方々の無事をお祈り申し上げます。
磯崎早苗
揺れの中、みんなパニックなりながらも楽器を片付け、とりあえずホールの外に出ました。大ホールでは、ちょうど秋川雅史さんのコンサートが行われており、たくさんの人でエントランスはいっぱいになっていました。余震が続き、ひとまず練習は中止、解散となり、明日は朝10:30に集合ということになりました。
ひとまず大船駅まで向かったのですが、まず町中の電気が停電しており、駅と駅ビルの電気がついているだけで、電車はすでに止まっていました。しばらく改札の外で電車の復旧を待っていたのですが、らちがあかず、夕方16時を過ぎた頃になってくると寒くなってきたので、まずは食料を買い、駅の中の暖かいところに避難しました。
しかし、、、どんどん寒くなり、、、、駅ナカのお店でダンボールをもらい少しでも暖かくしようと、、、、その上に座るなどして、みんなで丸くなって床に座って電車の復旧を待っていました。
夜、19時を回った頃でしょうか?電車の本日中の復旧は見込めないとのこと。駅の会議室や他への避難誘導もありましたが、まずは年配の方、体調の悪い方、妊娠中の方が優先で、その後もしばらくそのまま待機、、、、
21時頃、鎌倉芸術館からのご好意で、ホールの方に避難させて頂けることになり、ホールまでみんなで戻りました。その頃には信号や町の明かりもついていました。そして、暖かいホール二階のロビーにて、ござと座布団の上でくつろぐことができました。
これほど座布団が嬉しく思ったことはありませんでした。
私たちオーケストラのメンバー以外にも、大船駅にいた多くの方々が同じように鎌倉芸術館に避難しにやってきました。
昨日はそのまま、鎌倉芸術館で休みました。
そして、今日早朝6時頃、コンサートマスターでインスペクターのヴァイオリンの七沢さんからコンサートをやるとの連絡。
夜中じゅう、ニュースでも各地の被害を伝えていたし、朝も各地で余震が続いていました。
それでも、私たちはコンサートを決行することになりました。
朝10時半、朝7時頃から復旧して遅れているJRの電車に乗っているであろうトロンボーンのメンバーを残してゲネプロが始まりました。
オーケストラのメンバーほとんどが鎌倉芸術館で夜を明かし、きっとみんなあまり寝れていないはずです。しかし、みんな各々複雑な思いを抱えながら、無事三曲のゲネプロを終えました。
そして、本番を迎えました。トロンボーンの方々は実に朝の電車のパニックに巻き込まれながら長い時間をかけてホールに到着、無事メンバー揃っての演奏となりました。
静かにクラリネットのソロからはじまるボロディン、そしてベートーヴェンのピアノ協奏曲。ソリストの今井彩子さん、本当に素晴らしかったです。
そして、休憩をはさみ、湘南鎌倉病院の院長小林修三先生のお話。もちろん、今回の地震についてのお話からはじまり、ベートーヴェンの病の話に。
ベートーヴェンは鉛による慢性の腹痛・下痢、そして耳の病。
それでも、こんなに素敵な曲を書いている。そんな風に、小林先生のお話を聞いているうちに、やっぱり私たち音楽家にできることは、今日のコンサートで精一杯演奏することしかないんだ。そう思いました。
そして、チャイコフスキーの交響曲第5番。
あまりに有名で、多くの人に愛されているこの曲の二楽章、、、、、そのときまでに分かっていた東北を中心とする地域での被災者や死亡者の方々のことが頭に浮かび、、、、まるでレクイエムのような冒頭の弦楽器の響きに涙しそうになってしまいました。
詳しくは分かりませんが、本当にありがたいことに客席には50人ほどのお客様がいらして下さっているように見えました。二楽章の中盤くらいに少し大きめの揺れもありました。しかし、皆さん最後まで聞いて下さいました。
今日は無事に帰宅することができ、母親父親と共にいますが、これを書いている間も余震が続いています。本当に不安ですが、まだ行方不明になっている方々や避難している方々の無事をお祈り申し上げます。
磯崎早苗
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プロフィール
埼玉県出身。13歳よりファゴットを始める。 東京芸術大学音楽学部を経て、同大学大学院音楽研究科修士課程修了。 桐朋オーケストラ•アカデミー修了。
2007年日本ヴィラ=ロボス協会主催ヴィラ=ロボス生誕120周年記念コンサートにソリストとして出演。2008年オーケストラアンサンブル湘南とモーツァルトの協奏交響曲を共演。2009年桐朋学園大学音楽学部嘱託演奏員。 2015年日暮里サニーホールにおいてソロ・リサイタルを開催。
これまでに、読売日本交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、東京ニューシティ管弦楽団、神奈川フィルハーモニー管弦楽団、群馬交響楽団、ニューフィルハーモニーオーケストラ千葉、大阪フィルハーモニー交響楽団、九州交響楽団に客演。
これまでにファゴットを塚原里江、岡崎耕治、水谷上総の各氏に師事。桐朋オーケストラ・アカデミーにて岡本正之、河村幹子、井上俊次の各氏に師事。室内楽を山岸博、三界秀実、佐久間由美子、水谷上総、渡邊健二の各氏に師事。
現在、フリーランスのファゴット奏者としてオーケストラ、室内楽、吹奏楽指導など多岐に渡り活動中。洗足ニューフィルハーモニック管弦楽団団員。洗足学園大学演奏補助要員。Ensemble Joyeuxメンバー。
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